【HIKING REPORT】九州自然歩道 宮崎 | 野尻町 – 西都杉安橋 (野尻町-綾川荘)

今週の定休日は九州自然歩道のチェックを兼ねて、九州自然歩道 宮崎区間の野尻町から西都市の杉安橋までをテントを担いで歩いてきました。
九州自然歩道のMapBookもすでにかなりの方にお買い求めいただいており、歩くのを楽しみにしている方が多いため、実際に歩いて問い合わせやアドバイスができるようにコツコツ歩いております。

すでに担当の方にはお伝えしましたが、忖度・嘘なく率直に少々辛口なレポートです。その方が行く人のためにもなるかと思い、素直なレポート。
長くなるので2回に分けて更新します。

今回は
前回まで歩いた野尻町をスタート
綾町へ入り照葉樹や吊り橋を眺めて町方面へ
自然生態系農業を営む畑を見つつ綾川荘にてテント泊

2日目は綾川荘を出発して
国富町の法華嶽公園付近を通り
八重尾・籾木池を経由して西都市の上三財
峠を越えて三納へ。
そして峠を越えて西都市の杉安までのコース。
今回歩いた距離は65km強です。

今回の記事で更新するのは、野尻町から綾川荘まで(1日目)の区間です。

今回のコース

今回のコース

野尻町から綾川荘までの間では、3箇所ほど峠を越えて歩きますが、山の中の道は現時点では”自然歩道”というよりも”廃道”です。
通れる程度の整備は行われているものの、目印となるテープはなく道は不鮮明な箇所が多く、かつ倒木などが多いため、一般的な登山道よりも分かりづらく初心者の方が気軽に歩ける状況ではないと判断しています。
読図ができる方、GPSアプリなどをしっかりと使える方は間違えながらも十分に進めるかと思いますが、個人的なイメージとしてはある程度山歩きに慣れた方向け。
険しい箇所などはありませんが、行動距離を一定以上で考える場合は時間の計算などを行いながらペース配分を行う必要があると思います。

実際に僕らも何度かは道が分からずに、地図を見ながらなんとなく進んでいた箇所もあり、ゴミが放棄されている箇所もあったりで”自然歩道”ではなく本当に”廃道歩き”というイメージの峠越えでした。

使われなくなった道というのはどんどんと荒れていくものですが、ヌタ場が多くダニ対策も行っていた方が無難だと思います。
ちなみに、このコースでピンと来る方も居ると思いますが、めちゃくちゃヤマビル居ます。(もうすぐ出なくなるシーズンになりますが…)

しかしながら、個人的には見どころと感じる点もやはりありますので、しっかりと2回に分けて個人的な見どころ含めてご紹介を。

なお、区間のルート不鮮明などのリスクについては担当の方にお伝えし、必要とあらばお客様にも声をかけて整備の協力を行いたい旨も伝えさせていただきました。
※任意で勝手に行うべきかと悩みましたが、整備状況の管理などがどのように実施されているのか不明なため、いったんは状況をお伝えし必要とあらばと伝えております。


スタートは野尻町の以前にゴールに設定していました天ヶ谷バス停で、ゴールは綾川荘で約30km。
始発のバスに乗って行きますが、始発が遅いので到着時点で8:10着。公共交通機関を使うと早朝から歩き出すというのが出来ないため、時間を考えながら行動する必要がありますが、歩き慣れた方であれば厳しいスケジュールではないと思います。

朝に乗ったバス

朝に乗ったバス

一部通行量の多い車道を歩く際は、運転の邪魔にならないよう配慮が必要ですが、すぐに車通りの少ない道へと入ります。

コースの多くはアスファルトの道

コースの多くはアスファルトの道

九州自然歩道では生活圏を歩くことが多いので、迷惑をかけないようには当然なのですが「リュック背負ってどこ行くの?」とよく聞かれます。
“九州自然歩道”自体の認知度は各地域では全く皆無なので、自然歩道を歩いている旨を伝えると大抵「頑張ってね」などと声をかけられて、かなり励みになります笑
たまに怪訝な目で見られますが、挨拶を交わしながら生活圏にお邪魔しているという気持ちを大切に歩くように心がけます。

野尻町から広沢ダムへ向かう途中には山の中を歩きますが、ピンクテープ的な目印は現時点では存在しておらず、途中道が不鮮明な箇所も存在しており、まぁまぁな廃道感です。
(実際に道を間違えて、地図見ながら引き返したりしていました)

山の中

山の中

上の画像は実際に広沢ダムへの峠の途中の道。道が分かりづらい箇所は写真を忘れてました…汗
写真を見て「ヒルが凄そうだなぁ」と思った方は宮崎の山に慣れている方です笑
油断すると片足に10匹程度のヤマビルがつくので、歩くなら冬近くがおすすめだと思いますが、道が分からずに探しているとヤマビルが登って来て取り払っては道を探しての繰り返し。

もちろん道が鮮明な箇所もあり、気持ちよく歩ける場所は快適です(ヤマビル以外)
大きな峠ではありませんので、ルートを探しながら行動できる方であれば問題ないレベルですが、初心者の方は経験者に同行いただいた方が安心です。

道が鮮明な箇所

道が鮮明な箇所

ただし倒木をよけたり、地図を見ていたりするとヤマビルが上がってくるので、常に足元はチェックが必要でした。
人があまり歩いていないため、ヌタ場が多くダニもチェックは必要です。
※ヌタ場 : イノシシが体についたダニや寄生虫を落としたり体温を下げるために地面の泥に体を擦り付ける泥浴び場のこと。

ヤマビル

ヤマビル

一つ目の峠を越えた段階で、腹にヤマビルが吸い付いており流血。
ダニは定期的にチェックしながら藪漕ぎ的なのを終えるたびに服を払います。

とりあえず峠を降りて「ここからアスファルト歩きだ」というタイミングで少々嫌な予感がして靴を脱いでヤマビルチェック。

ヤマビルとシューズ(汚くてすみません)

ヤマビルとシューズ(汚くてすみません)

写真撮ったのはだいぶ取り払った後ですが、片足約10匹。
少々狂気な光景で、苦手な方だったら叫ぶレベルだと思います笑
なので、苦手な方は冬に歩きましょう。

峠を越えて広沢ダムへの川沿いを歩きますが、途中小林市と綾町の境界線でとりあえず1枚。

個人的に少し面白い瞬間

個人的に少し面白い瞬間

ここから広沢ダム周辺を歩いて、時折釣り人を眺めつつ「何が見どころなんだ」なんて言いながら歩きますが、途中でアケビの実を食う猿の集団に威嚇されました…
強いて魅力を挙げるなら、人がほとんど歩いていないと思われるので、動物の出現や野鳥はかなり見られます。

広沢ダム

広沢ダム

そしてダムに流れ入る川を見つつ「魚居ないかな」などと考えるのは、釣りを嗜む人の習性です。

川のチェック...

川のチェック…

そして広沢ダムを越えると綾南川方面(照葉大吊橋方面)へと峠を越えます。
ここもやはり、かなりの廃道感。「これは自然歩道じゃなくて廃道だよ」なんて言いながらとりあえず峠を越えていきます。

広沢ダム付近から峠に入るところ

広沢ダム付近から峠に入るところ

廃道感たっぷりの峠道

廃道感たっぷりの峠道、まだまだ序の口です

大雨・台風などによる崩落や倒木が存在する道を歩きつつ、人に愛される登山道の綺麗さを改めて実感し、自然歩道がどのように多くの方に愛されていくのか否か…なんて考えながら峠を上がっていきますが、途中にはゴミもあったりで少々残念な道。

こんな感じで歩きやすいところもあれば

こんな感じで歩きやすいところもあれば

道路が近づけばゴミも増える

道路が近づけばゴミも増える

捨てられたゴミ・大量の空き缶など「美しい照葉樹の町なんだけどなぁ」と少々残念な気持ちになりつつ「遠方から歩きに来た人がこれを見たらどう思うんだろう」なんて考えます。
ちょっとゴミが多かったのと、荷物を持つ余裕がなかったので今回はゴミはこのままで…すみません。

峠のピークを越えて下りに入ると道が分かりづらく、とりあえず自販機に行きたかったので車道を通って照葉大吊橋へ。
ちなみに現時点では峠の全てにピンクテープ的な目印はついていませんので、地図やGPSアプリで現在位置をチェックしながら行動してください。

照葉大吊橋への道

照葉大吊橋への道(ルート外です)

遠くに見下ろす照葉大吊橋

遠くに見下ろす照葉大吊橋

で、照葉大吊橋に到着してジュースをがぶ飲み。
ここからは車道を歩きながら綾の町方面へと降ります。

綾の照葉大吊橋

綾の照葉大吊橋

野尻-綾の区間ではひとつの見どころが、綾の照葉樹林だと思いますが、もくもくとしたブロッコリーのように見える照葉樹の森は他ではなかなか見れない風景。
また眼下の綾南川も僕らにとっては見慣れた風景ですが、改めて見ると良い川。
九州自然歩道の区間全域を通して川と風景を眺める箇所は多そうなので、それぞれの区間の川と暮らしという目線で見ても興味深いものです。

ちなみに本来は綾南川の左岸側が正式なルートですが、崩落箇所ばかりで通行が厳しいので右岸側の車道を歩いて綾の町方面へと歩いて降ります。
※左岸は下流を向いて左側、右岸が下流を向いて右側です。

照葉大吊橋の下を歩く

照葉大吊橋の下を歩く

ちなみに綾町はユネスコエコパークに認定されている町で、自然生態系農業や照葉樹の森をはじめ自然と人との共存が図られている場所として知られていますが、ひとつの自治体のみでユネスコエコパークに認定されている自然との共存が非常に素晴らしい町。ここからはそうした目線で歩いても個人的には楽しめると思っています。

照葉樹の森の中を流れる綾南川

照葉樹の森の中を流れる綾南川

長くて歩くと少々飽きも出てしまいますが、時折ライズする魚を眺めてみたり、改めて豊かな川だなと思いつつ綾の町方面へ。
綾の町に降りると通常のコースと逸れたまま、今回は自然生態系農業で知られる早川農園さんの畑などの間を眺めながら歩き、この日のご褒美として僕が個人的に好きな”あゆの山水”さんに立ち寄って、鮎の塩焼き定食を。

あゆの塩焼き定食 @あゆの山水

あゆの塩焼き定食 @あゆの山水

夕食は要予約とのことで、事前に予約を入れて「野尻から歩いて行きます」とお伝えしていましたが「お疲れさまー」と歓迎してくださって、うまい飯をしこたまいただきました…
これもまた綾町の恵で、少々食い過ぎなくらいうまい食事をいただいて、綾川荘で温泉に入ってテントサイトで爆睡。

爆睡

爆睡

廃道的な道、やばい量のヤマビル、鹿・イノシシ・猿、照葉樹の迫力ある森、あゆの山水のご馳走と、濃い1日を振り返りながら眠って翌日に備えて爆睡です。
ここまで長くない道を考えてテント泊をしながら歩いて楽しむのは、テントを持っているお客様にとっては良い遊びだと思います。

翌日分のレポートも追って更新しますので、ぜひご覧くださいませ。
実際に行こうという方はコース上のアドバイスなども店頭で気軽に相談ください。


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