冬のご来光登山

今年も残すところ約3週間。
今年最後の「山納め」はどこにしようという
お話を伺う季節となってまいりました。

同時に、2023年の初日の出を山の上でというご相談も
多くなってまいりましたので、
冬のご来光登山(朝駆け)について
装備面などご紹介したいと思います。
ご参考になると幸いです。

※ここでは比較的積雪など少ない、
宮崎市近郊の山での装備面などをご紹介いたします。


山が好きな方にとって、
一年のいちばん最初に昇る太陽を
山の上から眺めようという方は多いのではないでしょうか。

いつものご来光登山とはまたちょっと違った気持ちで
新しい年を山の上で迎える初日の出。

日の出の時間帯は、
山の上に居る周りの人々が
一斉に太陽の方角を向き、
オレンジ色に照らされる光景が広がり
いつも不思議な感覚になります。

1.事前に調べておきたいこと

a.ご来光目的で登る山のコースタイム
日の出時刻から休憩時間やコースタイムを逆算して出発時刻を計算。
(行き慣れた山をお勧めいたします。)
ご来光前のだんだんと空が明けていく時間帯も
楽しみたいという方はその時間分もプラス。
また、混雑が予想される山では
自分のペースで歩けないこともあると思われますので
ゆとりある行動時間の設定を。

b.当日の天候(気温や風)
山の上の気温は標高が100m上がるごとに
-0.6m下がると言われています。
また、風速1mで体感温度は-1℃下がります。

例えば…
初日の出を多くの方が楽しまれる、
宮崎県えびの市・小林市、鹿児島県霧島市の境界にまたがる
標高1700mの「韓国岳」
2022年1月1日の小林市の最低気温は-0.9℃
標高1700mでは-11℃前後ということになります。
風速が2mだとさらに体感温度は下がり-13℃前後です。
木などの遮る物がない、山頂。寒いですね!

太陽が昇る東側の空に雲がないかも
チェックしておくといいと思います。

私が山歩きや星空の撮影時に
よく利用する気象予報のサイトをご紹介いたします。
GPV気象予報

GPV気象予報

GPVとは気象庁や米国海洋大気局等の気象予測モデルを
スーパーコンピュータで計算した予測値を指します。
各エリアごとの
雨量・雲量 / 気温・湿度 / 気圧・風速などを
39時間先の予測を調べることができます。
この画像は2022年12月13日の
日の出時刻頃の予報を示したもので
韓国岳付近はうっすら曇がかかっている予報になっている図です。

c.道路情報
向かう山域によっては、
チェーン規制や通行止めなどが出ていることも
あると思いますので、事前に道路情報の確認もお勧めいたします。

2.ご来光登山の準備をしましょう

普段の山歩きの装備やウェアの他に
必須なものやあると便利なものを挙げていきます。

◎:必須
○:できるだけ持ってください
△:あると便利

・ヘッドランプ (◎)
・フリースやダウンジャケット、
ダウンパンツなどの暖かい保温着 (◎)
・風を遮るためのアウター(レインウェアなど) (◎)
・グローブ(2枚重ねがお勧めです) (◎)
・ニット帽 (◎)
・ネックゲイター (△)
・カイロ (△)
・暖かい飲み物 (△)
・ファーストエイド (○)
・軽アイゼン (○場所によっては)

太陽が上がるまでの時間帯、
ずっとその場に待機していることになりますが
その時間帯が一番、寒さを感じると思いますので
とにかく防寒の準備を怠らないことをお勧めいたします。

荷物が嵩張ってしまいますが、
山の道具ではなくても
家にある防寒着などを持っていかれてもいいと思います。
(ブランケットやシート状のものなど
羽織ったり、下半身に掛けられるものなど)

寒い中で、お湯を沸かしている時間が待てない!
という方は、あらかじめ魔法瓶などに
暖かい飲み物を用意していくのもいいです。

岩場もじっと座っていると冷えます

3.安全に楽しまれるために

a.登山届の提出をお忘れなく
元日のご来光登山に限らずですが、
安全に楽しむために登山届の提出や
家族や知人に必ず、行先などの連絡は行いましょう。

b.行き慣れた山へ
ご来光目的の山歩きは、
暗い時間帯の行動からのスタートですので
行き慣れた山を選ぶことをお勧めいたします。

c.ゆとりを持ったスケジュールで
日の出時刻に間に合わず、慌てて転んで…
なんてことになっては大変ですので
行程中の休憩時間なども含めたコースタイムを想定し
ゆとりのあるスケジュールを組みましょう。

d.汗をかかないように歩いていきましょう
寒い季節の山歩きでも
歩き続けていると身体が暖まり汗をかきます。
いくら速乾性のあるウェアを着用していても外気温が低いと、
「汗冷え」を起こしてしまいますので
「汗冷え」しないためのコツは
汗をかかないように歩くことです。
※冬季の山歩きのアンダーウェアとして汗冷えしにくい
メリノウールのクルーネックシャツ・レギンスは特にお勧めです。
(日常でも大活躍しております。)


2023年の年末年始の天気はまだわかりませんが
今週からは寒気も入り
また寒さが一段と増しそうです。
山の上で初日の出の時間を過ごされる方は
防寒対策をしっかりして
一年の始まりの素敵な時間を
暖かくお過ごしください。

また、
防寒対策などでご不明なことが
ございましたら、お気軽にお尋ねくださいませ。
(防寒小物類はシーズン真っ只中になると品薄になりますので
お早めのお買い求めをお勧めいたします)

元日の晴れを祈りつつ


最後に余談ですが、
山の上で寒さを感じた際に
上半身でいちばん大きな筋肉
「三角筋」を動かしてあげると身体が暖まります。
(肩を大きく上げ下げするような動きです)
THE NORTH FACEアスリートで
山岳ガイドを務める方と冬山をご一緒した際に
いただいたアドバイスです。
皆さまも是非、寒さを感じた時に実践してみてください。
コレ、けっこう効きます⭐︎

 

 

 

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