先日、数年ぶりに高原町から高千穂峰を歩いて、登山道の荒廃について少し考えながら歩いていました。
少々真面目すぎる内容で大変恐縮ですが、ご覧いただければ光栄です。
豪雨や台風をはじめとする異常気象、山のアクティビティの多様化、エリアによっては過剰な訪問数による荒廃、さらにはこれまでボランティアで保全されていた方々の高齢化による作業者の不足など、仕事柄山間部の様々な方と話しながら色々な問題を耳にします。
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近年”Sustainable(持続可能)”に変わり、”Regenerative(再生)”という言葉を耳にするようになりましたが、僕らが日頃楽しむ山や山間部も修繕しながら活用する必要性というのを、山を歩きながら感じることも多々あります。
数年振りに歩いた高千穂峰の天孫降臨コースも思った以上に登山道が荒廃しており、エグれてしまった登山道に露出した木の根を踏みながら歩くのは、どこか申し訳ない気持ちになりますが、リフレッシュに多くの方が歩いて楽しんで、綺麗な花や風景を楽しんでまた仕事に励めるというのは、とても大切だとも感じるので「行かない」ではなく「再生しながら長く楽しむ方法」というのを、僕ら遊ぶ側も少しずつ考える必要があるのかなと、時折山を歩きながらそんなことを感じます。
これは山に限った話ではなく、渓谷で釣りをしていても同様に土砂災害で大きな被害を受けた渓谷や山間部を見て感じることもあります。
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色々な遊びが存在する山や山間部の中で、僕がいつも「素敵だな」と感じているのが、日之影町にある「日之影ボルダー」として知られるボルダリングエリア。
ここでは熊本県のクライミングジム”THE RANCH”のオーナーでもある清川さんが長く開拓されてきた日之影町のボルダリングのフィールドを、日之影町の町民の方々も一緒になって整備し、駐車場や利用におけるマナーが生まれ、事業者と町の方々が一緒になって荒れたら整備し、自然や環境のみでなく利用者のマナーや宿利用の推進など、多岐にわたって気配りがなされています。
そうしたマナーは時に「厳しい」と感じることや「細かすぎる」という印象を受けることがあるかもしれませんが、地域の方々が生活するフィールドや自然のフィールドを使用するという点では、そうした細かな気配りやルールの制定が必要だと、僕個人的には感じることが多々ありますし、海外では更に厳しいルールを制定されている箇所も当然だとよく伺います。
日之影町のような素晴らしいフィールドと、利用におけるルールの設定やマナーにおいては僕も日頃から尊敬しており、様々なメーカーの方にも紹介する機会が多いため、アウトドアのメーカーの方でも一部の方は”日之影町”という町を知っていただいて関心を持っていただく方も増えてきました。
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様々な荒廃のような問題を考えた時に、いつもひとつの矛盾を感じます。
それは、利用者のマナー(例えば山ならハイカーや登山者)は、過去と比較した場合良くなっていると言われています。
例えば昭和時代よりもゴミは無くなったと思いますし、僕が宮崎県の山を歩き始めた20年ほど前よりも、今現在の方が当然のようにマナーを守る方も増えたと感じています。
それに反して山や山間部の環境は、この10数年で大きく変化していると言われていますし、山を歩いていてもそれをよく実感します。
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例えば鹿の増加、温暖化、異常気象、昆虫の減少など、そうしたものには、僕らアウトドアを楽しむひとりひとりの力なんて”たかが知れている”ものだと感じますが、それでも増水の後には綺麗に修繕される日之影町の環境を見る度に素晴らしいなと考えます。
今回高千穂峰の天孫降臨コースを歩いたのは、ヤマアジサイを楽しみたいという個人的な気持ち以外に、このコースが高原町の公式コースとなりルート整備が行われるようになることが個人的にはとても素晴らしいことだと感じてという点もあります。
ボランティアのみに頼る整備には個人的には無理があると感じる面もあり「遊ぶんだから整備して当然」という考え方ではなく、そこに仕事が生まれることも大切なことだとあくまで個人的ではありますが、よく山を歩きながら考えます。
僕の尊敬する方が住む上鹿川というエリアでも、森林保全活動には作業の謝礼などを生み出すことで、継続して行い続けるための工夫が常に考えられています。
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先日ある方と山の自然について話をする機会があった際「山は切って売ってまた植えるのが一番お金になるのだ」とそう言われて、僕をご存知の方は分かると思いますが、それだけではない山の魅力について話をさせていただきました。
これは林業などに従事される方を批判しているのではなく、僕は林業など山に従事される方々は大好きです。
それとは別問題で、山や自然はひとつの観光資源でもあり、癒しや交流の場でもあり、人が訪れれば周辺に店が出来たりと町にも良い変化をもたらすことがあると僕はいつも信じています。
また休日に自然の中でリフレッシュの時間を作ることにより、平日の仕事により邁進できるなど、直接的ではない収益性の向上やストレスマネジメントの効果もあると思っています。
海・サーフィンの聖地的存在な宮崎県では”海”というフィールドがあり、近年ではそんな場所に人が集まり、発展をしているエリアもあります。
それもまた魚をとって売るだけではない自然との付き合い方だろうと、僕はよく思います。(というか、そう言うこともありますが)
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ビーチクリーンやローカルなマナー、さらにはライフスタイルという観点でのサーフィン文化がある宮崎県の海の文化は、僕はとても尊敬しており、山もそうありたいと常々願っていますが、今回高原町による”天孫降臨コース”を公式なコースとして維持管理していくという動きは、ゆっくり少しずつな成果でも長く継続して発展すると良いなと心底願っています。
海における青島や、クライミングにおける日之影町の素晴らしさや、山におけるこうした事例がどんどんと広がって、少しずつ宮崎県の山や山間部のフィールドが素敵で楽しいものであればと、そんなことを思う山歩きでした。
そんな想いにいつも賛同いただいているお客様や、一部のお取引先の方々に感謝しつつ、高原町の皆さまに「ありがとうございます!」という気持ちを込めまして。
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